バブル崩壊の原因

永遠に続くかに思えたバブル景気の崩壊は、日本に大きな傷跡を残しました。
バブル経済の象徴である不動産や株価の下落は、起こるべくして起こったことにも思えますが、影響はそれに留まらず長期にわたる経済不況としてのしかかっています。

バブル崩壊は単なる不動産価格、株価の暴落ではなく、政策も絡んだ大きな問題だということが分かるでしょう。

バブル崩壊のきっかけ

そもそもバブル景気は、政府・日銀の意図したところではありませんでした。
せっかく投入した資金が、本来の設備投資や研究・開発に使われることなく、単なるマネーゲームになってしまったのですから、何とかして正しい道に戻す必要がありました。

そこで打ち出したのが、公定歩合(政策金利)の引き上げです。
低金利政策でお金を借りる人・企業が多すぎ、資金が余ってしまったのが悪いのだと考え、それでは金利を上げて、資金供給を抑えようということです。

また、「総量規制」と呼ばれる、土地関連融資の抑制も行ないました。
無制限に銀行がお金を貸してしまうため雪ダルマ式に不動産価格が上がってしまうのだから、強制的に上限を設けて、やたらに貸し出せないようにしようというわけです。

───政府・日銀の打ち出した手は、確かな効果がありました。
ただ、想定外だったのは、あまりにもお灸が効きすぎたことです。
本当にピッタリと不動産や株の取引が止まってしまい、価格も目に見えて低下し始めます。
しかし、そこで手綱を緩めず、更に引き絞ってしまったことで、ソフトランディングではなく、ハードランディングになってしまいました。

1989年12月29日に史上最高値38,915円87銭をつけていた日経平均株価は、1990年10月1日には一時20,000円割れとなるなど、わずか9ヶ月で半値近くまで落ち込みます。

連鎖する崩壊

株価や不動産価格の低下は、バブルに巻き込まれていた個人を直撃しました。
バブルの時は、株価が上がって含み益があるからドンドン消費しようと思っていた人が、毎日のように下がり続ける株価ボードに恐怖しながら、財布の紐を締めます。

バブル期にマイホームをローンで買ってしまった人は、身動きが取れなくなりました。
住宅ローンの残りが4,000万円あるので、値下がりしたマイホームを2,500万円で売っても、1,500万円のローンが残るだけ…というケースが多く出たのです。
これでは個人消費が盛り上がるわけがありません。

投資をしていた企業も同様です。
例えば、不動産に含み益があるからと、銀行からの融資を膨らませていたケースを考えてみましょう。
不動産価格の低下で「含み損」になっても、融資された金額はもちろん減りません。
しかも、金利が上がっているので有利な借り換えも出来ず、利払いだけで火の車。

これでは設備投資や研究・開発どころではありません。
それどころか「リストラ」して生き残りを図らなければならないような企業も出てきます。
解雇されたお父さんはマイホームローンを抱えているのに失業です。

それでも、個人や企業がやりくり出来ているうちは個々の問題です。
しかし、ついに支払いが出来ないとなれば、お金を貸していた銀行も、それを表に出さなければなりません。
ところが担保としていた不動産価格が下がっているので、時価5,000万円の土地なのに、融資は5億円などということも多発。
これでは担保を処分しても融資を穴埋めできません。

そのような「不良債権」を、もっと隠しているだろうと疑われ、事実たくさん抱えていたので、ついに銀行自身が倒産したり、「公的資金の注入」が行なわれるに至りました。
窮地に陥った銀行は、自分自身を守らなければならなくなりました。
そこで、資金を温存しようと「貸し渋り・貸し剥がし」をする姿勢になり、その煽りを受けて、資金力の無い中小企業が倒産したり苦境に追い込まれました。

これでは、誰もお金を使わないので物価が下がり続ける「デフレ」を起こします。
デフレ下で企業は収益が上がらないので納税額が減ります。
よって国家予算の収入が足りず、しかし景気刺激のため支出は減らせないので「赤字国債」乱発でしのぐ。
埋蔵金はありません。

バブル崩壊とは

土地神話の崩壊もバブルの崩壊ですが、このように見ていくと、連鎖したバブル崩壊は、未だに続いているとも言えます。
だとすると、「あの時、少しだけ手綱を引き締めすぎたこと」が、ここまで長く続く日本経済の不調の原因なのかもしれません。