ユーロの特徴

ユーロは、米ドルに次ぐ世界2位の規模を誇る通貨です。
通貨コードはEUR。
2013年1月現在、ヨーロッパ23か国で使われており、「ユーロ圏」という巨大経済圏を形成しています。

2002年1月1日に流通が始まって以来、FX相場では上昇基調を続け、世界の「準基軸通貨」としての確固たる地位を築くかに見えました。
しかし、ギリシャなど加盟国の債務危機によって相場が急落。
ユーロ体制そのものが見直しを迫られています。

欧州連合17か国が参加

ユーロの最大の特徴は、複数の国によって発行されている通貨だということです。
欧州連合(EU)の加盟国27か国中のうち17か国が参加。
さらに、6つの小国でも使われています。
国境を越えるごとに異なる通貨を必要としていたヨーロッパの古くからの問題がユーロ誕生によって解決され、欧州域内の人や商品、マネーの流れは飛躍的にスムーズになっています。

今後、ハンガリーやポーランド、ルーマニア、チェコなどの東欧諸国もユーロを採用する見通しで、ユーロ圏はさらなる拡大が期待されます。
一方、欧州の主要国であるイギリスやスウェーデンは、国民投票などの結果をふまえ、ユーロには参加していません。

ユーロ圏の格差と債務危機

ユーロの誕生により、ドイツやフランスなどの優良経済大国と、ギリシャやポルトガルなどの経済力の劣る国が、同一通貨の経済圏に組み入れられました。
この結果、ギリシャやポルトガルなどに対する信用が一時的に高まり、多額の資金が流入しました。

しかし、急激な資金の流入は、放漫財政とモラルハザード(倫理の欠如)を招き、2009年以降の欧州債務危機を引き起こしました。
とくにギリシャ政府は事実上、デフォルトに近い状態に陥り、急激なユーロ安を引き起こしました。

ユーロ独自のリスク

ユーロには、統一通貨ならではの独自のリスクが存在します。
本来、経済力が異なる国の間では、為替レートという調整メカニズムが働くことで、それぞれの国の物価や賃金が適正な水準になるとされます。
しかし、統一通貨ユーロではこのメカニズムが機能せず、局地的なインフレなどのひずみが生まれやすくなります。

さらに、加盟国の間で金融政策の足並みが乱れる恐れもあります。
最近では、ギリシャ救済に多額な負担を強いられているドイツで、ユーロに対する不満が高まっており、盤石な体制とはいえません。

急騰から暴落へ

ユーロ相場は、2002年1月1日に現金として取引が開始された当時は、ユーロ制度への先行き不透明感もあり、1ユーロ=1ドルを割り込んでいました。
しかし、2003年後半以降の世界的好景気を背景に、ユーロは上昇基調に入ります。

2007年後半にアメリカでサブプライムローン危機が発生し、米金利が断続的に引き下げられると、ユーロ高が加速。
2008年7月には、1ユーロ = 1.6038ドルという史上最高値をつけました。
また、対円でも同月、1ユーロ=169円93銭の最高値を記録しました。

しかし、その後は、欧州債務危機により、世界的にユーロ売りが激しくなります。
2010年には対ドルで一時、1ユーロ =1.1875ドルまで下落。
対円でも暴落を続け、2012年7月には1ユーロ =94円10銭をつけました。

欧州中央銀行による金利決定

ユーロは、欧州中央銀行(ECB)によって管理されています。
欧州中央銀行は毎月行われる政策理事会で、ユーロ圏の政策金利を決定します。
本店はドイツのフランクフルトにあります。

欧州中央銀行の理事会には、同行の総裁、副総裁、理事(4名)に加えて、参加各国の中央銀行総裁が参加します。
理事会は月2回開催されますが、金融政策に関する決定は毎月1回目の会合で行われます。
ここで決定される政策金利は、ユーロ相場の動向にも大きな影響を与えます。

欧州中央銀行は政治的な独立性が保障されています。
加盟国の政治家からの介入を受け付けず、金融政策を独自で決めることができるとされています。

危機を受けて「低金利通貨」に

ユーロ圏の政策金利は、2013年1月現在、0.75%に設定されています。
世界的にみると、日本の0.1%、アメリカの0.25%、イギリスの0.5%などに次ぐ低金利となっています。

ユーロの政策金利は、欧州債務危機が起こるまでは、景気の動向にかかわらず2~4%台で推移しており、投資家の間ではユーロは「円やドルに比べて、安定的な金利収入が期待できる通貨」とされてきました。
しかし、欧州債務危機が深刻化してからは、大幅な利下げが行われ、2012年7月には、初めて1%を下回りました。

ドルとの分散投資でリスク回避

外国為替市場では、さまざまな通貨ペアのなかでユーロ・ドルがもっとも多く取引されています。
このため、ユーロ・ドルの動向が、円などの他の通貨の相場へも大きな影響を与えます。
一般的には、ユーロに対してドルが下落していると、ドルは他の通貨に対しても売られる傾向があります。

このため、通貨の分散投資という側面から考えた場合、米ドルとユーロの両方を保有することで、リスク回避が図られるという考え方があります。