為替が変動する理由(1)

為替相場は刻一刻と変わっていき、チカチカと点滅するマーケットボード見ていれば飽きないほど。
歴史を少し振り返っただけでも、戦後1ドル360円だった米ドル/日本円の相場は、1ドル240円、1ドル120円、1ドル80円と大きく変動してきました。
この近年だけ見ても1ドル120円と80円では1.5倍もレートが違うわけです。

しかし、ほんの数年でそんなに国の価値が変わってしまうなんて不思議に思うかもしれません。
なぜ為替は大きく変動するのでしょうか。

基本は需要と供給

通貨の価値も、モノの値段も同じ。
みんなが欲しいと思えば値上がりし、人気がなくなれば値下がりするのが基本です。
「アメリカの不動産バブルがはじけたぞ!」となれば、これは危ないと一斉に米ドルを手放したがるのでドル安になりますし、「アジアの成長が著しいぞ!」となれば、投資しようと一斉に群がるのでアジア通貨が高くなります。

この「一斉に」というところと、お金は急に増やせないというのが、国の実力差以上に為替相場が大きく動くポイント。
「人気があるなら、お札をドンドン刷れば良いじゃない」と簡単に増刷できれば良いのですが、そうはいかないのが難しいところなのです。

このあたりは、モノの値段の中でも野菜や水産物のように、好不調が激しいものに似ています。
余っているときにはキャベツ1玉80円でも売れず泣く泣く廃棄されるのに、足りないときには1玉360円になったりします。
「人気があるなら、キャベツをドンドン作ればいいじゃない」とキャベツを作り始めても急には間に合わず、たぶん出荷する頃には安値になってしまいますよね。
コントロールの難しさは、円もキャベツも同じようなものなのです。

貿易の実需

人気があるのにモノが少なすぎれば、その値段が上がってしまうのは分かると思いますが、いくら人気製品でも昨日8万円だったテレビが、急に36万円になったりはしません。
キャベツや通貨と、電化製品の違いは代替がきかないことです。

国内の輸出企業が、アメリカに製品を売り、代金として10,000ドルを貰ったとします。
ドルのままでは給料を払えませんから、これを日本円に替えましょう。
その時の為替相場が1ドル100円なら100万円と交換できますが、1ドル80円の円高なら80万円にしかなりません。
これでは、もしかすると赤字になってしまうかも。

損をしたくないので円安になるまで待ちたいところですが、それまで従業員に給料を払わないわけにはいきませんし、「今回は米ドルで給料をもらってくれないか」とも言えないでしょう。
結局は嫌々ながらその時の相場に従って交換するしかないのです。
しかもこの取引で、10,000ドルが売られて80万円分の円が買われましたから、また少し円高が進みます。

ロールキャベツが看板メニューのレストランも「今年はキャベツが高いので、シソで巻いてみました」と言うわけにはいきません。
高くてもキャベツを仕入れなければならず、そしてその取引により、また少しキャベツ高が進みます。

つまり、「テレビ」なら人気のシャープが高ければパナにしておこうという代替がききますが、同じ「葉っぱ」だからとキャベツのかわりにシソでロールしたり、同じ「お金」だからと円のかわりにドルで給料を払うわけにはいかないのです。

そして、このような貿易の実需はどうしても発生する取引だけに、為替相場を確実に動かします。
お金のやりとりは日米が逆のパターンもありますが、日本企業がアメリカに輸出する金額が、アメリカ企業が日本に輸出する金額より多ければ、円を買う力の方が強くなり、相場はジワジワと円高に向かいます。
しかも円高だからと簡単に輸出を止めるわけにはいかないので、行き着くところまで行く傾向にあります。

金利差

二ヶ国間の金利が違うのも、為替相場に大きな影響を与えます。
例えば日本の金利が1%で、アメリカの金利が5%だったら、手持ちのお金をアメリカの銀行に預けようと思う人が多いでしょう。
また逆に、借金をするなら金利の安い日本からと考えるはずです。

それどころか、日本から借金をして、その円でドルを買い、ドルをアメリカの銀行に貯金しておくだけで利ザヤが稼げるかもしれません。
この場合、途中に円を売ってドルを買うという交換取引が入りますので、円安ドル高要因になります。

また大抵の場合、好景気の国は金利が高く、不景気の国は金利が低くなっていますので、好景気の国に資金が向かう動きとも一致しています。