為替が変動する理由(2)

単純な理詰めだけでは説明しきれないのが、為替の難しさであり、また面白みでもあります。
素人目には意味不明に思えるような動きや、突発的に為替が変動する要因を確認していきましょう。

テクニカル要因

過去の為替変動をグラフに描き、そこから未来の相場を予想しようというのが、各種のテクニカルチャートで、古典的な「移動平均線」や、国産の「一目均衡表」など、様々な手法が開発されています。
実際のところ、為替相場は、これらのチャートに沿った動きを見せることがあり、「25日の長期移動平均線に下値を支えられ~」とか、「一目均衡表の分厚い雲に跳ね返されるカタチで~」などという解説を聞くことがあると思います。
他の要因がないのに、このような動きをすること(したこと)をテクニカル要因と呼びます。

ただし、テクニカルの過信は禁物です。
アナリストが要因分析をしているのを聞き「テクニカルチャートってすごい!」と思うかもしれませんが、まったく反対の売買シグナルを出すテクニカルチャートもありますし、経験値からくる確率論ですから外れることも多々あります。

「テクニカルが当たるのは、みんながそれを信じて一斉に動くから」という、笑えない見方もあるほどです。

経済指標、要人発言

米国FRB(連邦準備制度理事会)の議長が「アメリカの景気先行きは明るくない」と発言したことをきっかけに、米ドルが一気に下落する、などということも、為替の世界では日常茶飯事です。
特に市場の予想と大きく異なった場合には、ポジティブ・サプライズ(驚くほど良いニュース)またはネガティブ・サプライズ(驚くほど悪いニュース)となり、為替相場に大きく影響します。
経済に関する定期的な発表は、事前に日時が指定されていますから、自国・他国の経済見通しや、政治的に重要な発言はチェックしておきましょう。

また、要人発言に限らず、単なる市場の噂に反応することもあります。
ほぼリアルタイムで解説が市場速報に流れることがありますので、不可解な動きがあった時は、まずは情報収集です。

国際情勢

中長期的な政治・経済の流れとは別に、戦争、テロ、地震や台風といった自然災害など、突発的な事態は世界各国で起こります。
事前に予想するのが困難ですので、一時的なパニック症状になることも。
そして、国際情勢の鏡である為替相場は、これらの情報にも素早く反応し、事件が発生した当事国はもちろんのこと、周辺国や関係国にも影響を及ぼします。

また、「大規模な変動が予想されるが上下どちらに行くか分からない」というような時には、「有事の○○買い」で米ドルや日本円など、特定通貨に避難する動きが出ることもあります。

ヘッジファンド

いろいろな事件が起こるたび、いちいち為替が大きく変動するのでは、安定した取引を望む市場参加者が困ります。
そこで生み出されたのがヘッジファンドです(HFと省略されることもあります)。

本来は、大きく急激な変動を、小さくなだらかに調整するためのファンドで、文字通り「リスクをヘッジするファンド」なのですが、レバレッジ(テコの原理)が効き過ぎて、小さな変動を大きなうねりに変えてしまうという、全く逆の働きをすることもしばしば。
実体経済以上のお金が動いているとされ、近年はヘッジファンドの意向が為替相場を操作しかねないとか、マネーゲームの温床とも指摘されています。

為替介入

各国の中央銀行などが市場に介入することです。
価格形成は市場原理に任せなければならないのですから、それに介入するのは禁じ手ではあります。
しかし、あまりにも急激な為替変動があり、自国の経済や産業に悪影響があると思われる場合に、やむを得ず行われることがあります。

短期的には数週間分の値幅を一日で戻したりと、強烈な効果が見られますが、中長期的なトレンドを変えられるかには疑問符が付いています。