英ポンドの特徴

イギリスの通貨ポンドはかつて世界の基軸通貨として君臨するなど、輝かしい歴史を誇る通貨です。
FXの投資対象としても人気があります。
通貨コードは「GBP」で、「スターリング」とも呼ばれています。
値動きが激しい通貨として認知されており、ハイリターンを目指す投資家に好んで取引されています。

かつての基軸通貨

イギリス(大英帝国)は18世紀、世界に先駆けて産業革命を起こし、世界経済の中心となりました。
これを受けて、英ポンドは19世紀から20世紀前半にかけて、世界中の貿易に使われるようになり、基軸通貨としての地位を築きます。
第二次世界大戦を機に世界の覇権がイギリスからアメリカに移り、基軸通貨は米ドルに変わりましたが、現在も主要通貨の一角としての地位を保っています。
エジプトやシリア、レバノンなど一部の国では、今でも通貨単位にポンドという名称が用いられています。

3位の外貨通貨

英ポンドの取引量は、米ドル、ユーロ、日本円に次いで4位となっています。
各国の政府や中央銀行が保有する外貨準備通貨の保有高としては米ドル、ユーロに次いで3位。
たいへん流動性の高いメジャー通貨だといえます。

ユーロに不参加

イギリスは、ヨーロッパでドイツ、フランスに次ぐ経済大国であり、欧州連合にも加盟しています。
しかし、1999年に誕生した欧州統一通貨ユーロには参加していません。
国民がポンドへの愛着と誇りを持っていること、そして、金融政策の主導権をドイツやフランスに握られることへの警戒感などが、ユーロ不参加の背景にあります。
近年の欧州債務危機とユーロ体制の混乱を受けて、ユーロに参加しなかったイギリス政府の決断を評価する声も出ています。

とはいえ、数十年の長いスパンで見れば、イギリスのユーロ参加は避けられないという見方も多いです。
仮にユーロに参加することになれば、英ポンド売りに結びつくのではないかと予測されています。

値動きが激しいのが魅力

世界の外為相場の取引量を通貨ペア別でみると、「ポンド・米ドル」は、「ユーロ・米ドル」「米ドル・円」に次いで多く取引されています。

ポンド相場の特徴は、ユーロとの連動性が高いこと。
ユーロが上がれば、ポンドはつられて上がることが多いです。
このため、ユーロと同様、米ドルと逆方向に動く傾向が強いです。
つまり、ドル安になれば英ポンドは上昇し、ドル高トレンドになると、英ポンドは下降局面に入りやすいということです。

こうした特性から、ドルとの分散投資の対象として適しているとされます。
最近では、欧州債務危機に伴うユーロの混乱を嫌って、ユーロのかわりにポンドを買う動きもみられます。

激しい値動き

英ポンドは他の主要通貨と比べて値動きが激しいという特徴があります。
いわゆる「ボラティリティ」(変動率)が高いのです。
これは、米ドルやユーロと比べてポンドの取引量が少ないため、投機筋が相場の大きな変動を狙った「仕掛け」的な売買を入れやすいためです。

対円においても、1日で3円動くことが珍しくありません。
FXで1万通貨単位の取引をする場合、ポンド円はユーロやドルよりも取引金額が大きくなるため、分刻みや秒刻みでの短期売買を繰り返すデイトレーダーやハイリスク・ハイリターンを好む投資家にも人気が高いです。

ただし、予想以上に値幅が大きくなるリスクがあり、高レバレッジで取引すると、損失が膨らむ恐れがあります。
厳密なリスク管理が必要です。

ポンド高とポンド安

近年のポンド・円相場を振り返ると、その値動きの激しさは顕著です。

2000年に1ポンド=148円19銭まで下落したポンドは、その後の円安に伴い上昇を続け、2007年7月には251円07銭をつけます。
ところが、サブプライムローン問題による金融不安を受けて暴落。
あっという間に値が半分以下になりました。
2011年には史上最安値の116円81銭をつけ、ボラティリティの高さを見せつけました。

BOEが機動的な金融政策

イギリスの金融政策は、中央銀行であるイングランド銀行(BOE)が決定しており、ポンドの相場に大きな影響を与えています。
イギリスはユーロに参加していないため、欧州中央銀行(ECB)のようにユーロ圏各国の経済やインフレに配慮せずに、国内事情のみで金融政策を機動的に決められるのが、イギリスの特徴です。
2008年のリーマンショックの際には、5%だった政策金利をわずか半年で0.5%に引き下げる離れ業を行いました。

原油価格との関連も

ポンド相場は、BOEの政策金利のほか、イギリス国内やユーロ圏の経済指標にも影響を受けます。
BOE総裁や金融政策委員会(MPC)メンバーの発言内容も重要です。

また、イギリスは北海油田を所有しているため、原油価格の変動の影響も見逃せません。
原油高で中東勢による対外投資が活発化すると、ポンドが買われる傾向があります。

ロンドン市場が主戦場

英ポンドの取引の主戦場となるのは、ロンドン外為市場です。
東京市場が終わり、ロンドン市場が始まる日本時間午後3、4時ごろから取引が活発になります。
イギリスの経済指標の多くが日本時間の午後5~6時に発表されるため、この時間帯は短期筋による売買で大きくポンド相場が動くことがあり、注意が必要です。