IMF(国際通貨基金)とは?

リーマンショックで世界経済が不況になって以来、なにかと話題にのぼるIMF(国際通貨基金、International Monetary Fund)。
最近では、債務危機に陥ったイタリアがIMFに支援を申し出たことが記憶に新しいところです。

国が経済のことで困ったとき、必ず登場するIMF。
いったいどんな組織なのでしょうか。
設立の背景から追ってみましょう。

IMFの発足

第2次世界大戦が終わる1年前の1944年7月、米国ニューハンプシャー州のブレトンウッズに45カ国の代表が集まりました。
大戦の引き金となった世界恐慌を2度と繰り返さないためにと開催された「ブレトンウッズ会議」です。

ここで、金融・経済の国際協調を目標にIMF(国際通貨基金)と世界銀行の創設が決定されました。
主にIMFが国際通貨体制など世界金融の安定維持を目的とするのに対し、世界銀行は貧困削除や戦後復興のための長期支援を主な業務としています。

両機関は会議の開催場所にちなんで、ブレトンウッズ機関とも呼ばれ、互いを補完する国際機関としてスタートしました。
ちなみに、このときのブレトンウッズ会議に英国代表として参加していたのが、かの有名な経済学者ジョン・メナード・ケインズです。
ケインズはこの会議で、今日でも話題になる世界統一通貨「バンコール」の創設を提案しています。

IMFが実際に発足したのは1945年12月で、当時の加盟国は29カ国。
日本が加盟したのは1952年で、その翌年に初めての融資を受けました。

IMFの業務

IMFの加盟国は、現在187か国。
本部は、米国ワシントンにあり、加盟国から選出された24人の理事が運営にあたっています。

IMFの業務は大きく分けて2つあります。
ひとつは経済危機に陥った国への「金融支援」、もうひとつは、そうした非常事態を予防するための「監視(サーベイランス)」です。

加盟国は、金融危機に瀕した際、自らの出資額にあわせた融資を受けることができます。
ただし、財政赤字の削減などに向けたマクロ経済政策プログラムへの合意が条件です。
プログラムには目標数値が設定され、目標の達成と返済を厳しく求められます。

IMFは援助機関ではないので、融資にあたっては市場金利に基づいた金利や手数料を取ります。
それがIMFの運営費にあてられるシステムです。

欧州危機で存在感

IMFの融資は「出資額の枠内」というのが原則ですが、緊急時には出資額を超えた金額を貸し出すこともあります。

2009年からの欧州債務危機では、ギリシャに200億ユーロ(約2兆1000億円)を超える巨額融資が行われました。
このほか、ポルトガルやアイルランド、ウクライナなどにもそれぞれ数兆円規模を融資しました。

ユーロ崩壊の危機が懸念されるなか、IMFの存在感を見せつけた出来事でした。

サブプライム問題を警告できず

IMFでは、こうした危機を事前に予防する監視活動の一環として、年2回「世界経済見通し」や「国際金融安定性報告書」を発行、定期協議を通じて、各国の当局に提言しています。

しかし、2008年のリーマンショックの引き金となった米国のサブプライムローン問題を事前に警告できなかったとの批判もあります。
また、リーマンショック後に世界の実体経済が悪化したあとも、融資などの対応が後手に回ったという批判もあります。

その反省をふまえて、IMFでは各国の金融部門への早期警告機能を強化するため、改革に向かっています。

資本増強と中国の台頭

IMFでは、次なる金融危機に備えるため、資金基盤の強化も叫ばれています。
リーマンショック以降、財政難の国に相次いで緊急融資を実行したことで、融資可能な資金の余力が低下したためです。

IMFの資金は加盟国の出資で成り立っているため、資金拡充には各国からさらなる出資が不可欠です。
しかし「出資額を増やすので、それに見合う発言権を割り当ててほしい」と求める新興国に対し、事実上唯一の拒否権を持つアメリカや、ヨーロッパの先進国は難色を示し、調整は難しくなっています。

こうしたなか、2010年には、中国のIMFに対する出資比率がそれまでの4%から6.3%台へと大幅に引き上げられることが決定しました。
一方で、出資比率が6.5%台だった日本は6.4%台へと低下。
国際社会における中国の発言力の強まりを象徴する出来事となりました。

脱「構造改革一辺倒」

一方、発展途上国の間では、IMFに対する不満がくすぶっています。
それは、IMFがこれまで欧米流の経済運営を押し付け、途上国の独自の事情を無視する傾向があったからです。

1997年のアジア通貨危機では、IMFは危機に陥ったタイやインドネシアなどへの融資の見返りに、市場開放や商慣行の近代化、緊縮財政などの厳しい構造改革を要求しました。
その結果、各国の実体経済はさらに悪化し、社会的混乱を招いたとされます。

こうした批判を受けて、IMFは2009年、融資にあたっては必ずしも構造改革を条件としないという新しいルールを導入しました。
これにより、より柔軟でスムーズな金融支援が実行できるようになると期待されています。
ただ、構造改革を伴わない融資は、借り手のモラルハザードを招く恐れもあり、IMFは難しい舵取りを求められています。