日本円の特徴

日本円は、米ドル、ユーロに次ぐ取引量があり、世界の3大通貨の一角とされています。
通貨コードは「JPY」。
最近のFX相場では、金融不安などで市場の先行きが不透明になると、円が買われる傾向があります。

長期的な上昇傾向

円は長期的に見ると、値上がり傾向にあります。
第二次世界大戦後、円相場はドルに対して固定され、1ドル=360円が長く続きました。
しかし、1973年に変動相場制に移行すると、円高へと向かいます。
1985年9月、ドル高是正を狙った先進5か国の「プラザ合意」をきっかけに、円高が一気に加速。
1995年には、1ドル=80円を割り込みました。

その後、アメリカの好景気などを背景に1ドル=140円台まで戻す場面がありましたが、2007年の世界金融危機を受けて再び急騰。
2011年10月には一時、1ドル=75円78銭の史上最高値をつけました。

経常黒字が支える円高

円の長期的な上昇トレンドの背景にあるのは、日本の慢性的な経常黒字です。
日本は1981年以降、一貫して経常収支が黒字を保っており、黒字規模は常に世界のトップクラスです。
これは、自動車などの輸出産業など活躍により、輸出が輸入を大きく上回っているからです。

経常収支は為替相場の動向を決める要素の一つとされ、為替相場では、日本の経常黒字を背景とする円高圧力が常にかかりやすくなっています。

政府の円売り介入

もう一つ、円の特徴として挙げられるのが、政府が円売りの市場介入を行うことがあるということです。
これまで日本政府・日銀は、円高が過度に進んだ局面で、円売り・ドル買い(またはユーロ買い)の市場介入を実施してきました。
2011年には、介入規模は10数兆円に達しました。

通常、先進主要国の為替介入は、他の国に事前に相談して協力を得る「協調介入」が中心ですが、日本政府の場合、他の国と協調せずに行う「単独介入」も辞さないという姿勢です。
このため、為替相場では、急激に円高が進むと、「介入警戒感」が出て、上値が抑えられやすくなります。

有事の円!?

近年、外国為替相場では、世界の政情不安や金融危機のリスクが高まると、円が買われる傾向があります。
これは、投資家の間で円が「安全資産」として見なされているためです。
日本が慢性的な経常黒字国であることに加えて、日本がテロなどの標的になりにくいと考えられていること。
そして、政情不安の震源地である中東や北アフリカと日本が地理的に遠いことなどが背景にあります。

かつては、政情不安などの局面ではドルが買われることが多く、「有事のドル買い」と呼ばれていました。
しかし、ドルは最近、有事の際にむしろ売られやすくなっており、「有事の円買い」という言葉もあるほどです。

金利を生まない通貨

日本円を語るうえで忘れてはならないのが、世界でもっとも金利を生まない通貨だということです。
日本の政策金利は、2012年末時点で0.1%となっており、ほぼゼロに近い状態。
アメリカの0.25%、ユーロ圏の0.75%などと比べても、ダントツの低さです。

日本の超低金利政策は、バブル経済崩壊の後遺症に悩んでいた1990年代半ばに始まり、99年には「ゼロ金利政策」がとられました。
2004年以降の世界的な景気拡大で各国が利上げを行っている間も、日本銀行だけは超低金利を維持し、他国との金利格差が拡大しました。
2006年7月時点ではアメリカの政策金利が5.25%だったのに対して、日本は0.25%でした。

これだけ低金利だということは、円は長期的に保有しても利息が期待できないということです。
利息を確保したい場合は、円以外の通貨に投資する必要があります。

前例なき「超デフレ通貨」

日銀が超低金利政策を続けている理由は、日本経済がデフレ経済に苦しんでいるからです。
日本の物価上昇率は、1999年から7年連続でマイナスを続け、2009年以降もマイナスあるいは0%台です。
これほどの長期的なデフレは、世界史上類を見ないともいわれています。

デフレの背景にあるのは、日本経済の構造的な衰退です。
低成長と人口減で将来のパイ拡大が見込めないなかで、個人も企業も支出を手控える「デフレスパイラル」が続いているのです。
多くの専門家は、日本は当面デフレと超低金利が続くと予想しています。

円キャリートレードで売られる

日本の超低金利を利用した投資手法としてポピュラーなのが、「円キャリートレード」(円借り取引)です。
円キャリートレードとは、円を借りて、その資金で外貨や外貨建ての金融商品を購入するという取引手法です。
円は金利が低いため、大量に借りても支払う利息はわずかで済みます。
その資金で高金利の通貨を買えば、金利格差で儲けることができます。

2004年後半からの世界的な景気拡大局面では、円キャリートレードがブームとなり、日本でも個人投資家がFXで大々的に円キャリートレードを行いました。
この結果、円に売り圧力がかかり、円安が加速しました。

2007年の金融危機以降は、円と他の通貨の金利格差が縮小したため、円キャリートレードは解消されました。
これが、円の急騰の要因となりました。
しかし、今後、再び世界経済が拡大し、投資意欲が旺盛になれば、円キャリートレードが復活する可能性は十分にあると見られています。