スプレッドが狭くても注文がすべれば意味がない

リアルタイムのレートが表示され、売買いずれかのボタンを押すだけで取引が成立していくのが、ストリーミング注文です。
画面をにらみ、89.88円…89.87円…89.86円…と下がってきて、「89.85円!ここだ!」と買ボタンを押したのに、約定したのは89.87円ということがあります。

「スプレッド(売買価格差)1銭!」とうたっていても、注文と約定が2銭、3銭とズレてしまったら意味がありません。

スリッページ

実際のところ、注文価格と約定価格が少しズレてしまうことは、FX取引ではありがちなことです。
これを「スリッページ」と呼び、日本語で「すべる」と表現することもあります。

時に為替相場は目まぐるしく動きますし、呼値の刻みが1銭だからといって、きちんと1銭ずつ上下するわけではありません。
スキップして2銭、それどころか何十銭も飛んだ値に移動してしまったり、トレード画面ではどちらに動いているのかさえ分からない乱高下もありますから、より近い価格で約定させるという意味で「スリッページ」を完全に無くすことはできません。

提示スプレッドとスリッページ

売買ボリュームにもよりますが、89.85円で買い、89.87円で売って、0.02円(2銭)の差で儲けるという取引スタイルも成立するのがFXです。
こういったスタイルの場合、スプレッドが少ないことが、業者選びの重要ポイントになりますから、業者は競ってスプレッドの縮小を打ち出し、それをウリにしています。
もちろん、それはそれで歓迎なのですが、問題は提示した価格できちんと約定するかどうかです。

2銭の差で儲けを出そうとしているのに、初めに2銭も滑ってしまっては、大ダメージになるというトレーダーもいるのです。

約定率にも注目

短期トレーダーを目指す人は、つい表示スプレッドの少なさを業者選びの判断材料にしてしまいますが、注文価格で約定しなければ意味がありません。
また、激しい市場の値動きと、注文の殺到に耐えられるシステムであることも大きなポイント。
そこで注目すべきは約定率です。
注文通りに執行される確率が高いということは、良心的で信頼性のある業者だということに、直接つながります。

逆に、いくら小さいスプレッドを提示していても、約定率が低いようだと、思い通りの注文ができるか、慎重な情報収集と検討が必要になるでしょう。

スリッページに関する都市伝説?

「ストップ刈り」と並んで、一部のトレーダーに信じられているのが、「個別スリッページ」です。
これは、市場の値動きと関係なく、常にその人の売買方向から見て不利な方へスリッページさせているというもので、その差額が業者の利益になると主張されています。

確かに表示スプレッドが1銭でも、売り買いの注文を常に1銭ずつ「スリッページ」させれば、実際のスプレッドは3銭になるわけですから、業者側の利益は上がることになりますが…。

スリッページの許容範囲を決められる

いろいろな不平や不審を受けた措置かもしれませんが、スリッページの許容範囲を決められるシステムも出てきました。
○○銭までのスリッページなら約定しても良いが、それ以上に大きくズレたら約定させないという仕組みで、入り口のリスクヘッジに役立ちます。

また、ストリーミング注文に関しては、ボタンを押した時の価格と、実際に約定しそうな価格がタイムラグでズレてしまった場合には、素直に「その注文価格では約定できませんでした」と、注文自体をやり直しさせるシステムもあります。

なお、当然のことですが、損失を最小限に抑える逆指値注文や、強制的なロスカットは、そんなことは言っていられない緊急事態ですから、多少のスリッページがあっても執行です。