サブプライムローン問題が為替に与えた影響

為替にも大きく影響したサブプライムローン問題。
それまでの円安傾向から一転、急激な円高へと傾きました。

ではなぜ、サブプライムローン問題が円高の要因となったのでしょう?

サブプライムローンとは?

サブプライムローンとは、サブは「下位の」、プライムは「優良の」を意味するように、「優良より下位の人向けのローン」、つまり「信用度の低い人向けのローン」のことです。

信用度とは、ちゃんと返済されるかどうかという信用度のことであって、主に収入や担保内容に左右されます。
もっと簡単に言うと、サブプライムローンとは、通常の住宅ローンが組めない人(審査で断られる人)を対象にしたローンだということです。

一般に、使用度の低い人ほど金利は高くなります。
サブプライムローンも同様に、金利は高めに設定されています。

サブプライムローン利用者の増加

当時、アメリカでは景気が良かったので、家を買う人がどんどん増えました。
買う人が増えると、値段が上昇していきます。
購入時より売却時の方が高くなるほどです。

すると、次のように考える人が増えてきました。
「家の値段は上がっていくので、例え返済に困っても家を売れば返済できる。」

ローンの組み方も、次のように計画を立てます。
「将来、住宅価格は上昇するのだから、十分な担保になる。」
「住宅価格が上がった時点で家を担保にして、金利の低い別のローンに乗り換えればよい。」

ローン会社も甘い言葉を投げかけます。
「価格が上昇するまで数年は掛かるから、始め数年は返済額を小さくしても構いませんよ。」

全てが価格上昇を前提に計画されていきます。
購入者はさらに増え、価格も上昇していきます。

ローン会社も順調でしたが、所得の低い顧客に融資を行っているので回収できないリスクは残ったままです。
あと、顧客からお金を回収するには何年も掛かるので、早く現金化したいと考えました。
そこで、ローン会社は、顧客から返済してもらう権利を多くの投資家に売却しました。

「将来50万ドルを返済してもらうことになっているんだが、この権利書を40万ドルで買ってくれない?」というようなイメージです。
投資家にとっては、サブプライムローンの金利は魅力ですし、格付け会社が高く評価していたこともあったので、人気商品となります。

ローン会社は、リスク回避にも現金化にも成功したので、より一層顧客獲得に力を入れることが出来ます。
サブプライム層は人口が多いこともあり、利用者は加速的に増えていきます。

住宅価格の減少

このような状況がいつまでも続けばよかったのですが、そう長くは続きませんでした。
今度は値段が上がりすぎて、購入者が減少してきました。
すると、先程と逆の事が起こります。

住宅価格は下がります。
住宅価格が下がるので、購入者も減ります。
「住宅価格の下降 ⇒ 購入者の減少 ⇒ 住宅価格の下降 ⇒ ・・・」の繰り返しで、住宅価格はさらに落ち込んでいきます。

購入者の方に目を向けてみましょう。
住宅価格が上昇することを前提に、ローンを組んでいます。
金利の低いローンに乗り換える予定でしたが、住宅価格が下降しているので乗り換えることが出来ません。
現行のローンで支払うしかありません。

しかし元々、所得の低い人たちが借りているので、金利の高いローンを返済できない人は多くいます。
返済できないので、仕方なく家を売ります。
しかし、家を売っても価格が下がっているので、返済額が足りません。

すると、困るのは誰でしょう。
権利を買い取った投資家です。
中でも大量に購入した大手証券会社のリーマンブラザーズは経営破綻し、これをきっかけに金融不安が広がり世界同時株安へと発展しました。

円キャリートレードが円高に影響

ではなぜ、サブプライムローン問題が円高の要因となったのでしょう。

それには、円キャリートレードと呼ばれる投資スタイルが関連していると言われています。
円キャリートレードとは、金利の低い円でお金を調達し、それを金利の高い外貨に交換し海外市場で運用する投資スタイルのことです。

円キャリートレードが多く利用されると、円安になりやすくなります。
円が海外通貨に交換されるので、「円が売られる ⇒ 円安」というわけです。
サブプライムローン問題が起こるまでは、この円キャリートレードによって、円安傾向となっていました。

ところが、サブプライムローン問題が起こると、今度は円キャリートレードの巻き戻しが起こりました。
清算しようと、借りていた円を返済するために、「海外通貨を円に交換 ⇒ 円を買う ⇒ 円高」というわけです。

「円を買いたくて買った」というよりかは、「返済のために円を買う必要があった」と言ったほうが適切かもしれません。
しかし、どちらにしても、円を買われていることに違いないのです。