米ドルの特徴

米ドルは世界でもっとも多く使われている通貨です。
国境を越えた金融取引や貿易には米ドルが使われることが多く、「世界の基軸通貨」とされています。

基軸通貨

米ドルは、USDと略されます。
世界最大の経済大国アメリカで自国通貨であり、世界的にもっとも流通している国際通貨でもあります。

第一次世界大戦前後まで世界の中心だったイギリスのポンドにかわって基軸通貨になって以来、その地位を保っており、現在も、海外取引の80%以上は米ドルで行われています。
その次に多いユーロの約10%を大きくしのいでいます。

世界ナンバー1の経済力・軍事力

米ドルの支えとなっているのが、アメリカの経済力です。
アメリカのGDP(国内総生産)は15兆ドルと世界最大で、2位の中国(7.3兆ドル)の2倍以上。
3位の日本(5.9兆ドル)とはさらに大きな差があります。

1991年のソ連崩壊以来、アメリカは軍事的、政治的にも圧倒的なスーパーパワーであり、これが通貨としての信頼度の裏付けとなっています。

日本の貿易も米ドル決済が中心

日本にとっても、米ドルは貿易の際の基本となる通貨です。
財務省の「貿易取引通貨別比率」(2012年上半期)によると、日本への輸入は、米ドルによる決済が73.3%を占め、円の22.0%を大きく上回ります。
日本からの輸出も49.2%を米ドルが占め、日本円の40.4%より多いです。

投資対象としての安心感

米ドルは投資対象としてメリットの大きい通貨です。
その理由は、値動きが比較的安定していることです。
取引量が多いこともあり、英ポンドや豪ドルなど他の通貨に比べると1日ごとの値幅は狭いことが多く、極端に暴落する局面も他の通貨より少ないです。

米ドルに次ぐ規模の取引量があるユーロは、2009年からの欧州債務危機に伴う断続的な暴落によって、その安定感に疑問符が持たれました。
その結果、相対的に米ドルに対する信頼度は高まりました。

情報が豊富

投資先としての米ドルのもう一つの魅力は、ドルを売買するうえでの情報が豊富だということです。
外国の通貨を投資対象として選ぶには、その通貨をめぐる情報のスピーディな入手が欠かせません。
その点、米ドルとアメリカに関しては、日本国内でも関連ニュースが迅速に報道されます。
とりわけ経済指標や米連邦準備制度理事会(FRB)議長ら要人の発言などは遅滞なく情報が流れるため、投資するうえでの透明性が高いといえます。

また、投資対象となる金融商品の種類が豊富なのも、米ドルの魅力です。
米ドル建て金融は、FXや米国株式、投資信託、債券、預金など多岐にわたります。
為替リスクは必ずつきまといますが、比較的低リスクの商品も多く、日本人が海外投資を始めるならまずは考えたい通貨のひとつです。

長期的な下落傾向

基軸通貨として君臨する米ドルですが、相場での価値は長期的に見ると下落基調にあります。
たとえば、対円でみると、1973年まで1ドル=360円で固定されていたドルは下落傾向を続け、2011年3月には史上最安値の1ドル=76円25銭をつけました。
対カナダドルや対豪ドル相場などでみても、米ドルは過去30年くらいのスパンでは下落基調にあります。

双子の赤字

長期的なドル安基調の背景にあるのが、アメリカの経常赤字と財政赤字、いわゆる「双子の赤字」です。

アメリカは、経常収支の赤字額が世界でナンバー1です。
「買い物好き」という国民性もあって、輸入が輸出を常に上回っており、中国や日本などに対する巨額の貿易赤字がしばし問題視されてきました。
また、米国政府の債務額はGDPの額を上回っており、米ドルの懸念材料となっています。
米国債の引き受け先を日本や中国などの国外投資家に依存している点も、ドル相場にとってマイナス要因です。

米ドルに投資する際には、双子の赤字を十分考慮しながら臨む必要があります。

金利収入は期待薄

米ドルに投資する際にもう一つ留意したいのが、慢性的に金利が低いことです。
日本に比べると米国の金利は高いですが、他の主要国と比べると、低めで推移しています。
とくにリーマンショックが起きた2008年以降は、アメリカでも超低金利政策がとられており、FXなどで米ドルに投資をしても、金利スワップはほとんど期待できない状況です。

有事のドル売り?

かつて金融の世界では「有事のドル買い」が常識でした。
戦争や大きな天災があったときには、世界でもっとも安心できる米ドルが買われていたのです。

ところが、2001年9月11日の米国同時多発テロ以降は、むしろ、有事にドルを売る傾向が見られます。
その理由は、アメリカ本土がテロの標的になるという懸念があるからです。
近年は、有事の際には「ドルを売って、金(ゴールド)を買う」という傾向が強いです。

それでも米ドルは、世界の為替相場全体のバロメーターであることには変わりません。
円だけでなく、ユーロ、英ポンド、豪ドルなども、対ドルを軸に相場が動きます。
FXなどの海外投資を考える際には、円を中心に考えるのでなく、ドルを中心に世界を見据え、相場観を養う必要があります。